初めてこの土地を見たとき、いちばん手前のたいそう大きなプラタナスの木が印象的だった。本当に大きい。動植物を擬人化して考えてしまう癖のある私はすぐにMollyと名前をつけた。MollyはMaryの愛称。どちらかというと力強い男性ではなく、家と土地をしっかりと守る肝っ玉母さん的な感覚だけで、単なる思い付きでつけた名前だ。というか、本当はMargaretの愛称だと間違っていたのだけど。(Margaretという名の本物の肝っ玉母さんの知り合いがいたのであった。)
家を建てるときに伐採の対象にならないといいなと思ったが、残念ながらMollyは大きすぎて日照、枝折れなどの問題から残してはおけないということになった。実はプラタナスの木はあまり好きではなかった。葉が大きすぎる。でも名前をつけてしまうと当然愛着が湧いてしまう。土地を見に行くたびに「Molly、来たよー」、帰るときには「また来るねー」って声をかけていた。Mollyという名前がついたおかげで、この土地をMolly'sと呼び始め、家はMolly's Cottageとなった。Mollyはいなくなってしまったけど、短い触れ合いの間に名前だけはしっかりと定着させていったのだ。